真空管ラジオレストア記録

実際に手掛けたラジオレストアの記録簿です。

シャープ 6H-238型 レストア記録

 このラジオは既に一台持っています。

沢山レストアしている松下製のラジオとは、基本は同じですが「付加回路」がとても

ユニークで「さすがシャープ!目の付け所が違う!」・・これは昔からのようです(^o^)

 

最初は「部品取り」のラジオが欲しい・・できるだけたくさんの部品が付いている物が

欲しい・・もし電源トランスが死んでいたら文句無しに部品取り!

そう心に決めていました。

そして手元に届いたラジオは・・・

「オー! ホコリがたくさん積もっていて歴史を感じますね💦」

 ホコリは凄いですがシャーシの強烈なサビも油っぽさも無さそうです。

 

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ワタボコリが「玉」になっていますが、どうしたらこうなるのかなぁ?

松下と違って配線が「ボロボロ」にはなっていません。

 

まずはテスターにて、電源トランスの各巻線の断線がないかチェック!・・「OK」

続いてアウトプットトランスの1次側2次側の断線チェック!・・「OK」

気になるスピーカーの細い線はどうでしょうか?・・・・「3つともOK」

となると・・「部品取り」にするのは勿体ない!(^o^)v

生かして上げましょう!

 

そうと決まったら、まずは筐体からシャーシや電球、そして金具類を一旦外して掃除を

しましょう!

  

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金属のライン(エスカッション)はどこかにぶつけたようですね💦

ツマミは長年の手垢が汚れと生って焼き付いています。(これは簡単に取れます!)

真ん中に筋の入ったツマミの部品はどうやら劣化したのか、外れてしまっています。

ココには丸く切り抜いた白いゴム板を貼りましょう。そして方向性が関係ない「選局」

(TUNING)ツマミとして一番右に持っていきましょう。 

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本来透明なパネルプラスチック。 単なる「汚れ」による曇りと信じて、外したら洗剤

を使って優しく水洗いします。

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外枠の白い塗装は、一旦紙やすりで削って塗装が着きやすいように仕上げましょう。

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古いラジオにありがちな「ボリュームの劣化消耗」ですが、これは動作をさせて初めて

ガリガリ」と雑音が出て「交換を要する!」となるのですが、このボリュームはそれ

以前に「電源スイッチ」も兼ねた部品です。 なのに、導通試験をしてみたところ・・

スイッチを入れたはずなのに「導通したり、切れたり」・・どうやら内部の機械的

部分が壊れているようです。 なのでスイッチ付き500K Ωのボリューム(新品)と交換

必須です。 ツマミの装着が必要なのでシャフトだけは採寸後カットして使います。

ついでの「ガリ」の不安も払拭できます(^o^)v

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高級?な接続ジョイント金具でしっかりとシャフトを接続します。

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一通り外装部品の取り外し、洗浄、塗装し直し・・などに目処が付きましたので・・

いよいよ回路内の「レストア」開始です。

まずは良し悪し関係なく無条件で古い「化学変化型コンデンサー」つまり、電解コンデ

ンサーやオイルコンデンサー、ペーパーコンデンサーは取り外してしまいます。

シャーシ上の美観を気にされる方はブロック型コンデンサーは姿として残される様です

が、私は「動作優先型」ですので何の未練もなく撤去します。

代わりに出来たスペースには「電解コンデンサーと新しい抵抗器」による「平滑回路」

を設けます。ブロックコンデンサーだと、わざわざ遠くから配線を引っ張ってくる必要

がありますが、平滑のみに集中できるため、電気の理想「短い配線」も叶います。

おまけに元々の回路よりもCR平滑部品段数が増やせるので、ハム低減にとても有効!

他の電解コンデンサーや新たな高耐圧フィルムコンデンサーも、必要とされる回路の

間近に取り付けることが出来ます。

 

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今回のラジオのような大型の物は、たいてい「コタツの足?」のように、数十センチの

棒足を履かせ、昔のTVの様な置き方をしていました。

落札したラジオは足は付いていませんでしたが、取付用金具が付いていました。

もう使用しないので取り外し、代わりに大きなゴム足を買ってきて卓上型に変身です。

 

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現在のAUDIO機器からの出力信号を入れて、ラジオで増幅して聴くことが出来るよう

に、3.5Φステレオミニジャックを設けました。隣の赤と黒の端子は昔の「レコード・

プレーヤー」からの出力をつなぐ端子です。 ミニジャックはその端子に繋いでおり

ます。CDプレーヤー、ブルートゥース受信機、スマホなどの音源を入れて頂き、ラジオ

特有の優しい音をお楽しみ下さい。

このラジオは音量調節や音質をラジオ側でも調整できます。

 

 アンテナは本来「8m高さ、12m横長」の電線アンテナを想定して受信感度が

設計されています。(当時のラジオの殆ど)

しかし今日では無理な相談です。しかし放送局側の送信出力が上がっているので、それ

ほど大げさに考える必要はありません。

市販の「AM放送用室内アンテナ」が手に入りましたので、それを繋いであります。

またそのアンテナの電線は2本の線で構成されています。 少しでも「長く」なるように

一本はラジオ回路の受信コイルへ、もう一本は、短波放送を感度良く聴けるように、

シャーシ内にて接続して単線にて「延長用外部アンテナ」を外に出しています。

(さらに長い電線をつなぐなら、さらに強力に短波放送を受信できます。

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当時の高級ラジオには、据え置きした動かさないラジオを「有線リモコン」ではあって

も、離れた所から電源の入り切りや、外部スピーカーを鳴らすことが出来ました。

もしかしたらお店の場合などは、お客さんが勝手にラジオを弄ったり出来ないように

その機能を使っていたのかも知れませんね。

でも、現在は使いません。 リモコン用ソケットや、ACコンセントなどは返って危険な

場合があり得るため思い切って撤去しました。(大きな丸穴が外した跡)

元々は「ラジオ/リモート」の切り替えスイッチは「マジックアイ」の「ON-OFF」

スイッチとして流用しました。

 

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裏ブタ下部の切り欠き穴は、元々は配線後に蓋を締めるため僅かな隙間しかありません

でした。 でも「3.5Φミニジャック」に線を抜き差しするので、下から50mmの高さ

までカットしました。放熱性も良くなるはずです。

 

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★新しい技術の投入!!★

【マジックアイのLED化】です。

とにかく真空管のマジックアイは寿命が短く、そして希少な管となっていて・・

このラジオに採用されている【6E5M】は、まずヤフオクに出品されませんし、高価

なため入手は難しいと考え、私としては初めて【LED】によるマジックアイ動作を試してみる事にしまいました。

いつかやろうと思って部品は購入していましたので、早速基板に実装し繋いでみたら…

何と‼️一発で動作しました!(^^)

高輝度な緑LEDなので、制限抵抗はかなり高い値で十分でした。 敢えて本物のマジッ

クアイに似せる作業はやめて、シンプルに基板を黒く塗るだけにしました。

回路は先輩達のサイトの公開されている回路を使わせてもらいました。

 

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この状態は、非同調時にホワイトノイズで薄く点灯しています。スマホ撮影のため実際よりも明るく点いています。

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この状態は、最も強く受信出来ているNHK第一同調して明るく点いています。 色板

や曇りプラ板を入れるならもっと滲んだ感じになるかも知れません。やはりスマホ撮影

です、実際よりも明るく滲んで撮れています。

チューニングダイヤルを回して行くと、LEDが信号の強さに応じて点いたり消えたり、

明るくなったり暗くなり、マジックアイ動作をしっかりしてくれました。

LEDを採用した事により、高圧配線が減りスイッチへの負担が減りました。 

マジックアイは不用な場合には裏側のスイッチをオフにしますと、回路へ供給している

6.3Vの電源をOFF出来ます。

(元々のマジックアイ管「6E5M」は、配線毎撤去してあるので使用できません。)

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いろいろな箇所に手を入れて整備出来ました。

愛機の一つにいかがですか?

 

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                                   以上