真空管ラジオレストア記録

実際に手掛けたラジオレストアの記録簿です。

SANYO SF-400 取り扱いの仕方

 とても斬新なデザイン(丸が基調)のトランスレス5球スーパーです。

中波、短波、そしてPHONOの3モード。

現役当時は別売りの「レコードプレーヤー」をつないで「浪曲」や「流行歌」の

レコードを聴いていたのでしょうね。

「ステレオ」が出て来てからは、その役目も終わったのかも知れません。

 

 ホコリまみれ、自然に発生した金属サビ、化学的な反応型のコンデンサーの劣化、

バリコンやダイヤルの油切れによる「渋い回転」などなど、確かに60年以上も昔の

製品であることは間違いありません。

(むしろ原型を留めていることにびっくりです。)

気になる部分や、いまのところ正常でもやがて劣化するような部品を交換し、洗剤で

きれいに洗ったら「元気!」にまた鳴り始めました!

 

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1,つまみの説明

 

 1−1 一番上のツマミ

  ● 電源スイッチとTONE(音質)切り替え

   ★このスイッチはメーカーの設計仕様で「板バネとカム」で構成されています。

    (各メーカーが採用) 従って「カチン・カチン」というキレの良さは無し。

    ゆっくりと切り替える必要があります。

   ☆TONE「H」は比較的「音が乾いた感じ」で聞こえます。

   ☆TONE「L」は比較的「音が曇った感じ」で聞こえます。

  

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 1−2 「VOLUME」(音量調節)

   ★スイッチ付きではないので毎回、戻す必要はありません。

    (新品に交換してあります。)

 

 1−3 「バンド切り替え」と「選局ツマミ」

   ☆「バンド切り替え(内側のツマミ)」・・PHONO ・ BC・・SW 

   ☆「選局(TUNE)外側ツマミ」

     回すとダイヤルが動きます。

 

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2.背面の部品説明

 

 2−1 AUDIO IN(3.5φステレオミニジャック)

  ★標準的なミニプラグ用のジャックです。 構造はステレオタイプですが内部にて

   音響機器の出力保護のために抵抗で合成し「モノラル化」しています。また

   ラジオから音響機器に内部電圧が加わらないようにコンデンサーで絶縁されて

   います。 Bluetooth受信機を差し込んでスマホから音楽を送信しますと、離れた

   場所から操作でき、なかなか便利です。 

 

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  2−2 マジックアイON-OFFスイッチ

   ★今日マジックアイの管は市場でも品薄で、新品はなかなか見つかりません。

    メーカーの仕様のままでは常時動作させる回路ですので、少しでも長く使用

    出来ますように「ON-OFFスイッチ」を設けました。

 

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3.保守時のご案内

 

 滅多に内部の装置に手を触れることは無いと思いますが、ご興味を抱かれて「内部を

 見たい!」と思われたり、部品の交換などをされる場合を想定し「シャーシの取り出

 し方」を簡単にご説明致します。

 

 3−1 シャーシ取り出し手順

   ★ 一番先に「ダイヤル糸」を取り外します。

  1.「選局ツマミ」をラジオ正面から見て一番左(一番低い周波数側)へ持って

    行きます。

  2.下図の「糸締め付けネジ(ー)」をマイナスドライバーで緩めます。

    (緩め過ぎるとネジが落下しますので、少し緩めて糸が外れれば良し。

 

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   3.フロントパネルの取り外し

     各ツマミを手前に静かに引っ張りますと軸から外れます。

   4.シャーシ取り付けネジの外し方

     フロントパネルを「下」にし、底板部分の固定ネジ(マイナスネジ4本)を

     外します。(パネル傷つけ防止のためにタオルやダンボールなどを敷く)

   5.マジックアイのコネクターだけを引き抜きます。

   6.短い線で配線されている「電球」を手前に引き、金具から外します。

     これで木箱の中からシャーシを引き出せます。なお、さらに配線がつながっ 

     ていますので、不自由ですが真空管の曲がりや、配線を踏まないように

     注意しながら作業します。(タオルやダンボールなどを敷くと便利です)

 

★作業終了後の手順は、記載した順番を逆に遡ります。

 

 4.ダイヤル糸の取り付け方

 

   1.外し方と同様、選局ダイヤルを一番左(低い周波数側)に持っていきます。

   2.「赤い印」を糸に塗っていますので、図のように「糸を持ち上げて」糸を

     締め付けていた金具とダイヤル指針の間に「挟み込み」ます。

     図は裏側から内部を覗いた状態を示しています。

   3「糸締め付けネジ(ー)」をマイナスドライバーで締め付ければ終了です。

 

 以上です。

 

 ★通電しながらの取り付け、取り外し作業は大変危険です!

  電源スイッチを切ることに加え、プラグをコンセントから引き抜いて作業をする

  ことをお勧め致します。