ナショナル【DX-365】レストア記録
ヤフオクで落札する際にいつも思うことは・・・
「賭け!」なんですよねぇ。 載っている写真や説明だけでは【実物】の本当の姿が
分からないんです💦
特に「通電できました。」のコメントが有ると、「安心」どころか「不安😱」が先に
立ちます。
というのは、何らかの不具合(特に短絡)があって「ジャンク」になっているのですか
ら、ヒューズのアンペア数を上げてまで通電すると、今までかろうじて生きていた
「トランス」「真空管」などが、その通電により「断線故障」してしまう可能性の方が
大きいからです。
このラジオは「電源ケーブル」が切断されていたので、通電できないまま出品されて
いた物です。
届いて早速開封しましたら・・・・
●とにかくラジオ内外の「汚れ」が酷く「これは外した!💦」との第一印象でした。
油染みた環境の工場ででも使われていたのでしょうか?
はたまたやはり油汚れが際立つ「中華屋さん」ででも使われていたのか?
ウエスで拭いただけでは全く落ちない油脂性の汚れでした。(ツマミも真っ黒!)
でも幸い「大きなヒビや割れ」などは無く、綺麗にしたらどんな姿に?
そんな一縷の望みが残りました(^^)
年季の入った汚れですね。
中身もまたすごい状態!
積もりに積もった綿ゴミが油っぽい💦 ナショナル独特の配線の劣化。
もうここまで来ると「笑うしか」ありません(^^)
「火事場で拾ってきたの?」と聞きたいくらいです。
全体に均一に汚れがあったため、拭き取るのは諦めて・・・
まずは真空管を抜き、バリコンも外して全体を「水洗い」しました。
(IFTコイルだけは水が入らないように注意!)
洗剤のおかげで「見違えるように」きれいになりました\(^o^)/
劣化したコンデンサー全ての交換、足りない部品の追加、ダイヤル糸の張替え等々を
終えた後の写真です。
ラジオの筐体の裏底に貼ってあった回路図は「宝探しの地図」状態(^^)
同一回路の機種とほぼ同じなので、自分で回路図を起こしました。
リアの三穴のある端子は「レコードプレーヤー」をつなぐための物です。
昔はラジオとプレーヤーはセットとして購入した人が多いのです。
今は亡き我が親父さんは浪曲が好きで、ラジオと繋いで聴いてましたねぇ・・・
でも今はこのままでは実用性がないので、思い切って取り外し、そこに「3.5φミニ
ステレオジャック」を新設し、現代のAUDIO音源を使える改造をしました。
このラジオに限らず殆どのラジオには「切り替えスイッチ:ロータリースイッチ」が
あります。 ご覧のように「開放タイプの接点」なので、使用環境、経年劣化などが
著しく影響を受ける場所です。
切り替えても「動作しない」「動作しても不安定」などが主な症状です。
どうやら見た目だけの汚れだけでなく「硫化」「酸化」などの科学的な変化による
「被膜」が形成され、それが大きな原因で不具合が出るようです。
この写真は「接点専用化学溶剤」を塗布して、まずは拭き取った状態です。
真っ黒だった金属部が光っています。
このあと・・中性洗剤とブラシで擦った後、水洗いをして乾燥させればOK!
昔のスイッチはとても複雑な仕様になっていて(パズルみたいな?)何も考えずに
配線を外してしまうと・・・裏か?表か? 二段構成の物だとその順序すら???
になるので、必ず電線と端子の状態をスケッチ、撮影などをしておく必要があります。
更には取り外した際の接点の様子が組み立てする際に重要になるので、「割り印」の
ヒントを得て「スイッチの軸とスイッチのウェハにペイントする」ことが一番良い事に
気づきました。(油性ペイントがベスト)
そうしておけばバラバラになっても「割り印」がピタリ合うようにすれば難なく元通り
になりますので(^o^)v
よく使われていたのでしょう!
ボリュームは音声を出すまでもなく、抵抗値が途中から無限大(開放)になる程擦り減
っていたので、新品とすぐに交換しました。
デラックスなジョイント金具を使用してしっかりと固定します。
(ギザギザのローレット加工された軸は貴重。ボリューム本体は破棄。軸は使用。)
一通り修理と改善作業を終え、やっと「通電式」です。
音は一発で出てくれました!
音質はスピーカーが小さいこともあり、少し乾いた音が出ています。
「ちゃぶ台の食卓を思い出す、あの当時の音です!」
中波も短波も十分な感度です。
「AUDIO IN」から入れた「Bloutooth受信機」経由のスマホの音楽も綺麗に鳴って
くれました。
樹脂部分もツマミもきれいになりました。
まだ何年も現役として頑張ってくれるでしょう(^^)